Logo
替え玉の花嫁
替え玉の花嫁

替え玉の花嫁

56 エピソード
完結
祖母の治療費を工面するため、逃げ出した姉の身代わりとなったオータム。彼女は「替え玉の花嫁」として、冷酷なbillionaire(億万長者)であるチャールズと結婚する。女性関係が絶えず気まぐれな彼との契約期間は1年。自由を夢見るオータムと権力を持つ彼の関係は、利害のみで結ばれたはずだった。現代を舞台にしたこのromance novelは、偽りの結婚から始まる二人の運命を描く。果たして彼女は無事に離婚し、自らの人生を取り戻せるのか。スリリングな展開が魅力のweb novelです。
『替え玉の花嫁』第1話

イボンヌ・グーが結婚式から逃げだした! マスコミで取り上げられているこの結婚式は、21世紀最大の結婚式であるはずだったが、 今となっては、世間の笑い種になってしまう寸前だった。

オータム・イェは鏡で自分の姿を見て、 床に置かれているウェディングドレスを力強く踏んだ。 イボンヌが滅茶苦茶にしたのに何故私が解決しないといけないの?

「もっとやったら! まだ怒ってるなら、踏みつけれるドレスが後10着もあるわ!」 オータムの母親であるウェンディ・イェが厳しい顔つきで彼女を見た。

オータムの心が沈んでいった。 彼女は立ち尽くし、呼吸を整えてから話し始めた。「お婆様の医療費を払うお金が必要なの。 お金が入り次第イボンヌの代わりに、チャールズ・ルーと結婚するわ」

歪んだ微笑みを浮かべながらウェンディは携帯を取り出し、秘書に電話をした。「チャンさん、病院の理事に連絡をとって」

電話を切った後、ウェンディは振り返ってオータムの方を見た。 素朴なウェディングドレス姿のオータムをうんざりとした顔で見て、 ハサミを手に彼女に向かって歩いて行った。

ウェンディは落胆した表情でハサミを持ち上げながら言った、「そんな顔で見ないでよ。 あなたは私の娘だけど、あなたを見るたびにあの役立たずな父親を思い出すわ。 あなたを見捨てた事を責めないでね。 人間は我が儘になって自分の事だけ気にすればいいのよ」

ウェンディはオータムのドレスを切り、袖に大きな穴を開けた。

そして部屋の外で待っている担当者の方を向き、「ボケっと立ってないで。 ウェディングドレスが破れてるわ。 新しいのを持ってきてあげて! 私のイボンヌは一般人ではないのよ。 彼女は一番素敵なウェディングドレスを着るべきだわ」

オータムは鼻を引き攣らせた。 ウェンディが自分が彼女の娘だと初めて認めたからだ。 しかしそれは、ウェンディが世間にイボンヌが彼女の最愛の娘であり、オータムはただの代理だと公表したことにより落胆させられた。

オータムはひび割れた下唇をかみ、小馬鹿にしたように笑った、「私の父親は確かに頼りない男性だったけど、あなたみたいなグー叔父の愛人になるような女性と結婚したんだもんね。 まぁ、あなたがしたみたいに、別の女性がグー叔父を誘惑してくれるといいけど」

「お黙り! なんてことを!」 ウェンディは激怒し、 手を振り上げ、オータムの右頬を叩こうとしていたが 、オータムの完璧に仕上げられた化粧を見て、 彼女の魅惑的な美しさに落ち尽かされた。 「今日はあなたと言い合いはしないわ。 とにかく、さっさとチャールズと結婚して、騒ぎを起こさないで! グー家とイボンヌに恥をかかせないでよ!」 ウェンディが断固とした態度で言った。

オータムはにやにやと笑った。

チャールズ・ルー? その男は金持ちで権力があった。 1年中毎日違う女を連れているほど、 無数の女性と関係づけていた。 「なぜチャールズはイボンヌと結婚したいのかしら?」 オータムは不思議に思った。

「騒ぎを起こさずに、この結婚式を乗り切ればいい! あなたはチャールズを知らないけど、結婚式はかなりのものよ。 あなたを見捨てた事は本当に悪いと思ってるわ、でも裕福になるんだし、これからはいい人生を送れるわよ。 昔の事は忘れて、新しい人生を送りなさい!」

母親のその言葉を聞き、オータム・イェは長い事押し隠していた感情が涙になり湧き出てきた。 涙が頬を伝い流れ落ちた。 「獰猛な虎ですらこの母親のように自分の子供を扱わないわ」 と、彼女は思っていた。

オータムはまだ体の震た状態で荒々しくウェディングドレスを掴んだ。

「わかったわ! 彼と結婚するわ! イボンヌの代わりにチャールズ・ルーと結婚することを約束するわ。 でも… 今後、私はあなたの娘ではないわ。 だから私の人生の邪魔をしないで。 それに、お婆様に何かあったらあなたのことは許さないから!」

「あなたがチャールズ・ルーと結婚さえしてくれれば、あなたの言う通りにするから」

ウェンディがオータムにこれほど親切だったことはなかった。 彼女はオータムをチャールズに差し出せるのであれば何でもした。 数年後、オータムがこの出来事を思い出し、思いもよらなかった運命に思わずため息を漏らした。 彼女を絶望に落としたこの結婚式は、後々、彼女の人生を守る重大な事となった。 彼女が思いもよらなかった出来事が起こり始めた。

「結婚式が始まります。 新婦さん、急いでください!」

結婚式は予定通りに行われた。 白いウェディングドレス、レッドカーペット、花、そしてゲスト… その結婚式は映画で見るような華やかなものだったが、 オータムの心は氷のように冷たかった。 彼女は無表情だった。

豪華な結婚式だったにも関わらず、彼女は夫の顔すら見たことがなかった。 出席者たちは微笑んでいたが、オータムは周りにいる皆が式の初日に夫に愛されていない自分を嘲笑っていると感じていた。

チャールズが彼女の手をしっかり握っているにも関わらず、彼女は彼と話をしようともしなかった。 式の後、チャールズは乱暴に彼女の手を振り解いて言った。「先に帰るんだ。 俺は終わらせないといけない仕事がある」

チャールズの運転手がオータムを送り届けた。 彼女は運転手にチャールズがどこへ行くのかを聞いた。 運転手はチャールズがどこに居るのかよく知っているようだし、彼女に言わないような指示も受けていないようだから、 無関心に「リリーヴィラ」と言った。

「リリーヴィラ?」 確かにセレブのレイチェル・バイがリリー・ヴィラに住んでいるという噂があった。なるほど。 オータムはそう考えながら無関心な笑顔を見せた。 レイチェル・バイが私の夫となった男のガールフレンドだと言う噂は本当だったようだ。 今この瞬間にも、チャールズはレイチェルを抱きしめ、そして宥めているに違いない。 つまり、チャールズには既にガールフレンドがいたのだ。それで、彼が私の提案を受け入れるのはそんなに困難ではなかっただろう。

オータムは長い間チャールズをウェディングルームで待っていた。 その部屋は結婚式ムードで飾られいたが、オータムはそんなロマンチックな気分ではなかった。

彼女はチャールズは今夜は戻ってこないだろうと思ったので、 着替えをし、気分転換をしようと浴室へ向かった。

彼女は肉体的にも精神的にも疲れていたので、浴室で長い時間過ごした。 今日は色んなことがあり過ぎ、じっくり考えたかったからだ。

浴室の温度は高く、鏡は蒸気で曇っていた。 オータムは混乱していた。

ウェンディ、イボンヌ、チャールズそしてレイチェルのことが頭から離れなかった。

考えれば考えるほど、彼女はより混乱になった。

温かい湯船に浸かり落ち着きを取り戻してから、 彼女はタオルで身を包み、 別のタオルで髪を拭いた。 浴室から出て来た時、チャールズがまっすぐ自分を見ているのに気がついた。

部屋は暗く 壁ランプだけが点けられていた。 しかし、部屋のその暗さは無表情なチャールズよりましであった。

この20数年の人生で、男性の前でこれほど体をあらわにしているのは初めての事だった。

彼女はチャールズを見るや否や、服を取りに向きを変えた。 しかし、チャールズは彼女を捕まえ、 ベッドに投げ入れた。 「お前、どうしても俺と初夜を過ごしたいようだな??」 チャールズがバカにしたような口調で言った。

彼女の体はタオルで覆われているだけで 濡れた髪からは水滴が落ちていた。 分厚い結婚式用メークは既に洗い落とされていたが、チャールズは彼女の素顔から目を離せなかった。

チャールズは彼女の体から石鹸の香りがするのに気がついた。 その石鹸は彼がいつも使っているものであったから、 彼のにおいが彼女に付いていると感じ、彼の欲望に火をつけた。

が、レイチェルの涙目が頭に浮び、すぐに落ち着きを取り戻した。

彼とレイチェルは2年も付き合っている。 彼女をがっかりさせたくない。

続きを読む
話数を選択
CH. 1CH. 2CH. 3
CH. 4
CH. 5
CH. 6
CH. 7
全て
小说の全編を読むならこちら
moboreader
今なら無料で読める!

こちらもおすすめ

離婚したら大富豪が豹変~「君なしでは生きられない」と執着溺愛が始まりました~
離婚したら大富豪が豹変~「君なしでは生きられない」と執着溺愛が始まりました~
結婚2年目に離婚を突きつけられた白川明澄。交通事故で瀕死の彼女を見捨て、かつての恋人を選んだ藤原社長への絶望を胸に彼女は姿を消す。しかし数年後、大富豪であり裏社会にも通じる彼が、別の男と式を挙げる彼女の前に現れた。このmodernな復讐と愛執の物語『離婚したら大富豪が豹変~「君なしでは生きられない」と執着溺愛が始まりました~』は、過酷な運命に抗う女性を描く人気のromance novelです。逃れられない執着の行方を、話題のbillionaire romance booksで今すぐチェック。
契約の花嫁:ソーンの贖罪
契約の花嫁:ソーンの贖罪
夫に突き飛ばされ子供を失った詩織。裏切り者の夫・健司は離婚を迫り、彼女を精神病院へ幽閉しようと画策する。絶望の淵で詩織が手にしたのは、亡き両親が遺した謎の鍵と古い契約書だった。それは冷酷な億万長者・九条院玲との婚約。復讐を誓い、詩織は九条院との新たな『契約の花嫁:ソーンの贖罪』として、マフィアをも凌ぐ闇の権力闘争に身を投じる。人気のbillionaireジャンルの要素が詰まった、愛と再生の現代ドラマ。本作は無料で読めるonline novelとして、衝撃の展開が続く本格romance novelです。
破滅の裏切りを断ち切り、新たな生を掴む
破滅の裏切りを断ち切り、新たな生を掴む
『破滅の裏切りを断ち切り、新たな生を掴む』は、愛を信じられなくなった令嬢が再起するmodern romance。10年連れ添った婚約者の蓮に結婚式で裏切られ、命さえ奪われかけた主人公。彼女は復讐と自立のため、謎のbillionaire・有栖川暁との政略結婚という道を選びます。裏切り者の蓮と狡猾な玲奈への決別を誓い、新たな運命を切り拓く物語。人気のweb novelで、過酷な状況から這い上がる女性の成長を描いたfiction booksです。
引き寄せられた運命: 冷徹なCEOへの恋
引き寄せられた運命: 冷徹なCEOへの恋
『引き寄せられた運命: 冷徹なCEOへの恋』は、顔も知らぬ夫との離婚を望むスカーレットが、執拗に迫る大企業のCEOエライアスに翻弄される現代のromance novelです。独身の平穏を求める彼女の前に現れたのは、冷徹と噂されるbillionaire。拒絶するために提示した結婚証明書に記されていたのは、まさに目の前の男の名前でした。正体を隠していた夫の真の目的と、逃れられない運命が交錯する。予測不能な展開が魅力のこのweb novelで、二人の愛の行方を見届けてください。
雇った“偽夫”、正体は世界を牛耳る大富豪
雇った“偽夫”、正体は世界を牛耳る大富豪
見合いを逃れるため雇った偽の夫が、実は世界を牛耳る大富豪だった――!『雇った“偽夫”、正体は世界を牛耳る大富豪』は、偽りの関係から始まる波乱万丈な現代ロマンスです。平凡な日常から一変、億単位の贈り物や名家令嬢たちの嫉妬に直面しながらも、二人は真の家族を築いていきます。会議よりも育児を優先する最強の夫と、彼を翻弄する妻が贈るシンデレラ・ストーリー。人気のbillionaire romance booksをお探しの方に最適な、笑いと甘い感動が詰まったweb novelです。
偽装結婚のはずでした
偽装結婚のはずでした
父の死と裏切りにより家を追われた主人公が、遺産の別荘を取り戻すため冷徹な億万長者と「偽装結婚のはずでした」という契約を結ぶ現代ドラマ。復讐と再起を懸けた彼女の前に、かつての誘惑を追求する彼が立ちはだかります。子供の存在が二人の距離を縮める中、契約を超えた愛と執着が加速する人気のromance fiction booksです。偽装から始まる真実の愛を描いた最新のbillionaire romance novelsを、web novelで今すぐお楽しみください。

新作ウェブ小説

MiniShortで大人気

覚悟はいいか そこのベイビー
覚悟はいいか そこのベイビー
夢の男性と結婚することが、アイビー・ドナヒューにとって幸せな人生への鍵となるはずだった。しかし、それは終わりなき悲惨と心痛の始まりに過ぎなかった。だが、夫が一線を越えたとき、アイビーはただの主婦ではないことを明かす。彼女は億万長者の相続人であり、夫に必ず報いを受けさせると決意する。
婚約破棄されたから、彼の父の嫁になった!
婚約破棄されたから、彼の父の嫁になった!
婚約者は私を愛しない、結婚当日他の女と駆け落ちしまった。前世の私は、彼らに中傷されて殺されたんだが、もう一度やり直しなら、彼との結婚をやめて、彼の父に嫁ぎにする!
その婿、凡人にあらず(吹き替え)
その婿、凡人にあらず(吹き替え)
千年の時を生きる師が、瀕死の弟子との約束を果たすため、その一族を三年守り続けた。その間、弟子の孫娘と婚姻を結ぶも、妻の家族全員から冷たく扱われる。軽蔑と理不尽な仕打ちに晒されながらも、彼は黙って耐え続けた。そして三年の期日が満ちた時、未練なく背を向け、静かにその家を去っていった。
ヒーローとの婚約を破棄します!
ヒーローとの婚約を破棄します!
人気のない恋愛小説家だった私は、ある日突然、自分の書いた恋愛小説の中に入り込んでしまった。しかもよりによって、悪事を働いて最後は悲惨な最期を迎える悪役に転生してた!このままじゃマズい、運命を変えるには――ヒーローと婚約破棄するしかない!
皇室攻略:デブ親子の逆襲
皇室攻略:デブ親子の逆襲
22 世紀から小説の後宮に転生したリショウウンは、皇太子を産んだものの肥満で惨死する運命を知る。息子と共に減量を決意し、多次元ショッピングモールを駆使して逆襲 —— 毒殺・謀反を一気に制し、天下の信頼と皇帝の心をつかんだ彼女が、なぜ太皇太后と共に宮殿を去る?小説の定跡を打ち砕く結末の真相、到底何なのか?
妻三人から始まる無双生活(吹き替え)
妻三人から始まる無双生活(吹き替え)
失業中の大学生・孫堅は、思いがけず古代の大乾王朝にタイムスリップし、貧しさにあえぐ秀才となってしまった。最初は最悪のスタートかと思われたが、ちょうど朝廷が徴糧政策の一環として、未婚の青年に強制的に妻を配給するという奇策を打ち出していた。無料で配られる妻はきっと醜いだろうと覚悟していたが、なんと隠された身分の皇女や、将軍家、豪商の令嬢などが候補に含まれていることが判明。孫堅がどれを選ぶか悩んでいると、突然システムが発動し、強制的に三人の女性と結婚することに。しかもこのシステムは、妻たちの好感度を上げることで様々な報酬が得られる仕組みだった。こうして孫堅は三人を妻として迎え入れ、愛妻家としての手腕を発揮して彼女たちの心を掴んでいく。戦乱で民衆が苦しむ時代にあって、彼は毎日贅沢に肉を食べ、周辺の匪賊を統一し、「乱世の逍遥王」としてのし上がっていく──