話 3
西村佳代 視点:
かつて, 直哉は私の体の弱さをよく知っていた. 彼は, 私が少しでも顔色を悪くすれば, すぐに気づいた.
「佳代, 顔色が悪いぞ. 無理しすぎじゃないのか? 」
彼は心配そうに私の顔を覗き込み, 私のために手料理を作ってくれた. 私が好む味付けや食材を覚えていて, いつも私の体を気遣ってくれた.
「君は僕が守るから, 無理はしなくていい」
彼はそう言って, 私の頭を優しく撫でた. 私は, 彼のその言葉を信じていた. 直哉は, 私にとってこの世界で一番大切な人だった. 私の一番の理解者であり, 私の心を一番深く知っている人. 彼がいれば, 何も怖くなかった.
しかし, 千結が現れてから, 全てが変わった. 私の胃の痛みも, 顔色の悪さも, 直哉は気づかなくなった. 彼の視線は, いつも千結を捉えていた. 私を放り出し, 千結の元へ駆けつけたことは, もう数えきれないほどだ.
直哉は, 私を七回も裏切った. 七回も, 私を置き去りにした. 私の心と体は, もう限界だった. 私は, もう直哉にチャンスを与えることはしない.
もう, 終わりにしよう.
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