話 1
「一緒に入ろうぜ」中学からの友達が言ってくれた。
これから始まる学校生活に心を踊らせる。桜に祝福をされながら俺たちは同時に目の前の大きな正門に足を踏み入れた。俺たちは今、高校生になったのだ。正門に足を踏み入れて少し進む多くの人が集まっているのが見えた。 俺は不思議に思ったので目を凝らして見てみた。見えたのは昇降口だった。俺はそれを見た時すぐに理解した。なぜ人が集まっているのかを。クラスが張り出されているからだ。これは誰しも楽しみにするだろう。俺が入学した学校は3年間クラス替えがないから余計大事なのだ。
「おい、僕達も行こうぜ」友達が早口で言ってきた。目でも早くしろと訴えているのが伝わってきた。
「俺は人が少なくなってきたら行くよ」俺は断った。俺は人混みがすごく苦手だからだ。友達は残念そうにしてるのが明らかに分かった。
「1人で行ってこいよ」と言い、友達を昇降口に行く ように促した。友達は1人で昇降口にダッシュして行った。
〜15分後〜
昇降口には人は全然いなくなっていた。俺はそれを確認して昇降口に向かった。俺も他の人と同様にどのクラスになるかとても楽しみにしていたのだ。
「何組かな〜」俺は独り言を言いながらクラスが書かれている紙を眺めていた。
「あった、6組か。」 俺は6組のクラスになった。
クラスメイトは…。知っている人が誰もいない。 人見知りの俺からすれば結構辛いことだった。
俺は少し落ち込みながら昇降口に入ろうとした時、ふと目に止まった。
あれ、俺が来る前からずっと昇降口にいたよな。
昇降口の前でずっとクラスが張り出されている紙を
見ている1人の女子を見つけたのだ。
俺は話しかけてみようか迷った。困っていそうだから助けてあげたいけど人見知りの俺にはとても勇気のいる行動なのだ。俺はすごく迷った。実際は5秒くらいだが、俺の頭の中では1時間くらい考えたのと同じくらい迷っていた。
「あのー、クラスが分からないのですか?」俺のとった行動は勇気をだして話しかけてみることだった。
「はい、いくら探しても見つからないんですよ〜」その女子は照れくさそうに応えた。
「あっ、一緒に探すんで名前を教えてくれませんか?」
「ありがとうございます、私は美咲と言います。美しいに咲くと書きます」丁寧に教えてくれた。
俺はなんて綺麗な名前なんだろうと心で思っていた。
「分かりました。」 俺はそう言うなりすぐに探し始めた。美咲、美咲、おれは心で唱えながら探した。1組にはない、2組もない、3組、4組、…。
「あっ、ありましたよ!」俺は普段より1トーン高い声で言った。
「ホントですか!?ありがとうございます!」美咲さんはとても感謝をしてくれた。組は6組らしい。
・・・。6組?俺はふと思い出した。
俺も6組だ。
「あのー、同じクラスですね」俺はちょっと気まずそうに言った。
「そうなの!?名前はなんて言うんですか?」美咲さんはとても驚きながら聞いてきた。
「玲と言います。」
「玲さんですね!3年間よろしくお願いします」美咲さんは少し照れ笑いをしながら言った。
「よろしくお願いします」 俺も少し照れながら返した。
話 2
俺と美咲さんは一緒にクラスに入る。クラス内はとても静かだった。 少しでも小さな物音がすれば誰もが気づくくらい静かだった。俺はなるべく足音を殺して自分の席についた。美咲さんはとても話しやすかったので隣の席にでもなってほしかったが、 思い通りにはいかず離れた席に座っていた。
少しして先生が入ってきた。
「校長先生の話があるから体育館に集まってー」
俺たちは体育館に向かった。周りを見る限り誰一人として元気な目をしてる人はいなかった。もちろん、俺もだ。校長先生の話なんてなくてもいいと思っている。
体育館に入ると、ほかの組の人たちが既に集まっていた。俺は生徒の人数に驚いた。ざっと一学年だけでも250人はいるだろう。俺は先生が指示した席に座った。そこで俺はさらに驚くことになる。隣に座っていたの昇降口で会った 美咲さんだったのだ。俺は話せる相手が隣の席で安心をしていた。
「ねぇ、そういえば玲君と連絡先交換してなかったから交換しようよ」
美咲さんが提案してくれた。俺からはそんなこと一生言うことができないだろう。俺は親から買ってもらった新型のスマホをポケットから取り出し、美咲さんとLINEを交換した。それからのことはあまり覚えてない、美咲さんとずっとメッセージのやり取りをしたことだけだ。校長先生が話している最中にだ。
メッセージのやりとりは俺が家に帰ってからも続いた。入試のこと、今の趣味、今も勉強してるかなどなどだ。俺はそんな当たり障りない会話をするのが とても楽しかった。
6組になれて良かった。そんなことを初日にして感じたのだった。
入学してから何日経っただろうか。クラスメイトのみんなは友達ができたため初日の静かさを疑うくらい騒がしくなっていた。もちろん俺も友達ができた。だが、それより美咲との仲がより深まった。俺はその事がたまらず嬉しかった。
こんな感覚は初めてだ。
話 3
「学校終わったら遊ばない?」 俺はLINEを使って美咲を誘った。別に直接誘えばいいが周りからの目が気になって誘えなかったのだ。
ピロン、スマホの振動と共に着信が来た。俺はすぐさまスマホを開き、パスワードの8318をすぐさま打って解除した。
LINEを開き、すぐにでも美咲との個チャを確認したかったが、すぐに既読をつけるとずっと返信を待っているみたいに思われそうなので、俺は裏技を使った。それは、機内モードにすることだ。機内モード中は個チャを開いても既読にならないのだ。「いいよ〜、ショッピングとかしようよ」 美咲からの返信に有頂天になった。俺はとても嬉しくていつの間にか顔がニヤけていた。周りからはとても変人に見られたと思うが、今の俺にはお構いなしだ。俺はすぐに機内モードを外した。美咲からどう思われようが良かった。早く返信したくてたまらなかったのだ。
「ありがとう、じゃあ放課後遊ぼうね」俺は自分の気持ちを表現したかったが、さすがに気持ち悪がられる 気がしたので短文で返した。
〜放課後〜
「いや、直接誘えよ」 美咲は俺を見つけるなりすぐに言ってきた。
「ごめんよー」俺は少し照れながら返した。
俺たちは田舎の高校に行っているので近くの遊ぶ場所と行ってもイオンモールくらいだ。なのでイオンモールに向かうことにした。
「何したいの?」 美咲は俺に聞いてきた。遊びに誘うんだから何かしたいことがあるんだろうと思ったのだと思う。
でも俺は何かしたいわけではない。ただ一緒に遊んでみたかっただけだ。だから何か計画を立てているわけでもない。俺はそのことを美咲に言おうとしたが、無計画の男というレッテルが貼られるのが怖くて言えなかった。
「ちょっと女子に服を選んでほしくて」 俺はとっさに嘘をついた。
「いいね!頑張るよ!」美咲は張り切り出してしまった。俺は美咲の姿を見て申し訳なく思った。
俺たちはイオンモールでとても楽しんだ。おもしろそうなおもちゃを買ったり、たべものを食べたり、ショッピングをしたり。
もちろん服も買った。
お金は底をつきそうだったが美咲と楽しい時間を共にできたから許せた。
「そろそろ帰るか!」 美咲は提案をしてきた。時計は7時を指しており、辺りは暗くなっていた。俺はまだ遊んでいたかったけどさすがにまずいと思い賛同した。俺と美咲は帰路に着いた。帰り道の会話で美咲は俺にある質問をしてきた。
「玲は好きな人とかいないの?もう7月だしそろそろいてもいい頃じゃない?」
それを聞いた途端俺足を止めてしまった。今しかないと思ったのだ。
「どうしたの?あっ、もしかしているの??」 美咲は俺の行動に確信を持ったのかニコニコしながら顔を覗き込んできた。
「美咲、実は…。」
「え!?教えてくれるの?」 美咲は驚きながら、でも目をキラキラさせながら言った。
「うーん、いいよ」俺はチャンスを逃したが、すぐに切り替えた。
「好きだ。」
「えっ?誰が?」
「美咲のことだよ」
「嘘でしょ?ホントに言ってる?」
「うん、一目惚れしてたことに気づいたんだ。付き合ってください」俺は少し後悔した。なんでいってしまったのかを。
「ありがとう、私も好き。」 美咲の目には涙があった。俺は美咲の返事にとても驚いた。
今、俺は美咲と付き合うことになった。今日見た美咲の涙は一生見せないと誓った瞬間だった。