2

リラの視点:

翌日の正午、私は屋敷に戻った。太陽は高く、家は静まり返っていた。静かすぎた。

玄関ホールで海斗が私を見つけた。普段は穏やかな権威の仮面をかぶっている彼の顔は、彼が心配だと私に信じさせたい何かで引きつっていた。

「リラ!どこにいたんだ?一晩中リンクしていたんだぞ」

彼の声には、アルファ・コマンドの一歩手前の、低く唸るような響きがあった。弱い狼には抗えない力、服従を要求する振動。かつては私の胸をときめかせたその響きが、今ではただ肌を粟立たせるだけだった。

「シズネ様とご一緒でした」

私は平坦な声で言った。

「古い文献について話していました。心が疲れすぎて、リンクには応じられませんでした」

息子のソラが階段の上に現れた。海斗の顔をそのまま小さくしたような彼の顔は、嫌悪に歪んでいた。

「帰ってくるべきじゃなかったんだ!」

彼はそう吐き捨てた。

「あんたがいなくても、俺たちは平気だったんだ!」

海斗の表情が揺らいだ。

「ソラ、もうやめなさい。彼女はお前の母親だ」

「違う!」

彼は叫び、踵を返して自分の部屋に駆け込んでいった。

海斗は私に向き直り、その顔つきは深く、手慣れた愛情の表情に和らいだ。

「まだ子供なんだ、リラ。分かっていないだけだ。混乱しているんだ」

彼は私を私たちの寝室へ、私の寝室へと導いた。空気は珍しい薬草と魔法のオイルの香りで満ちていた。部屋はそれらで溢れていた――私の「帰還の日」のための贈り物だ。彼はきらめく霊薬や輝く石が載ったテーブルを指さした。

「決して諦めなかった」

彼は感情のこもった声で言った。

「禁じられた森へ旅をし、あそこにあるサンペタルの花を手に入れるためにキメラと戦った。この傷が見えるか?」

彼は前腕にある長く白い傷跡を見せた。

「その爪痕だ。すべてお前のために」

私はテーブルに目を走らせた。視線は、薬草の中に埋もれるように置かれた小さなベルベットの箱に留まった。箱は開いており、一対のムーンストーンのイヤリングが見えた。美しい。そして、セリナの安っぽい甘い香りがぷんぷんした。彼は彼女のためにこれを買ったのだ。

「燃やしておいて」

私は何の温かみもない声で言った。

彼は一瞬戸惑った後、私の視線を追って箱に目をやった。罪悪感の閃きが彼の顔をよぎった。

「リラ、それは――」

「いらない」

私は彼の言葉を遮った。

「目の前から消して」

彼は素早く箱をひったくり、固く顎を引き締めながらポケットに押し込んだ。私の気を逸らすためか、彼はもっと大きくて豪華な箱を取り出した。

「これはお前のために作らせたんだ」

彼は優しい口調を取り戻して言った。

「一年前に。お前が必ず俺の元に戻ってくると信じていた」

彼が箱を開けると、中には黒い絹の上に置かれた見事なサファイアのネックレスがあった。それは「月の誓い」と呼ばれる、アルファがルナに贈る伝統的な贈り物で、永遠の貞節を象徴するものだ。サファイアはきらめいていたが、私は石を見ていなかった。チェーンの長さを見ていた。私の首には短すぎる。もっと小柄な誰かのために作られたものだ。セリナのような誰かのために。

「私は、あなたの唯一の存在?」

私は静かだがはっきりとした声で尋ねた。

彼はその直接的な問いに虚を突かれたようだった。

「もちろんだ。お前は俺の運命の番。俺の魂の片割れだ」

「アルファ、彼女がお呼びです。緊急だそうです」

一族の戦士の声が、パニックに陥った侵入者のように、私たちのリンクを突き破ってきた。

海斗はびくっとした。彼は私がそれを聞けないと思っている。リンクは彼と彼の戦士だけのプライベートなものだと。しかし、運命の番の間の絆は、たとえ壊れていても、その残響を残す。私にはすべて聞こえる。彼女だと分かっている。

「行かなければ」

彼は私の目を避けて言った。

「一族の用事だ。国境で緊急事態が起きた」

彼は私にキスをしようと身を乗り出したが、私は顔を背けた。彼の唇が私の頬をかすめた。何も感じなかった。

彼が去った後、私はその美しく、嘘つきなネックレスを手に取った。静まり返った家を通り抜け、裏口から出て、一族の焼却炉が燻る森の端まで歩いた。

何の躊躇もなく、私は「月の誓い」を燃え盛る熾火の中に投げ込んだ。炎が銀を舐め、美しいサファイアが煤で黒く変色し、灰の中に消えていくのを、私はただ見つめていた。

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3

リラの視点:

黒月の一族の大広間は、人でごった返していた。海斗は私の帰還を祝う歓迎の宴を開いた。一族全体に、真のルナが戻ってきたことを示すための豪華な催しだ。クリスタルのグラスが鳴り響き、空気は会話と、焼かれた肉や高価なワインの香りでざわめいていた。

しかし、私の隣の主賓席は空いていた。アルファ海斗は遅刻していた。

「彼は本当に献身的ね」

隣の群れから来た雌狼が、羨望の眼差しで私を見ながらため息をついた。

「五年も待つなんて…伝説になるわ。あなたを襲ったはぐれ狼たちを、彼が自ら拷問したって聞いたわ。何週間も生かしておいたんですって」

私は小さく、引きつった笑みを浮かべた。その話は嘘だ。彼を悲嘆にくれる忠実な番として描くために、巧妙に作られたプロパガンダだ。真実は、彼は私を死んだと宣告し、新しい恋人を作った。

その時、広間に静寂が訪れた。大きな扉がゆっくりと開いた。

海斗が、フォーマルな黒い装束に身を包み、力強いアルファそのものの姿で入ってきた。しかし、彼は一人ではなかった。彼の両脇には私の両親がいた。そして彼の後ろには、息子のソラの手を引くセリナがいた。

群衆から一斉に息を呑む音がした。セリナはシンプルな白いドレスを着て、頭を垂れ、謙虚で哀れなオメガの役を演じていた。

彼女は私のそばに滑るようにやって来て、その甘い香りが吐き気を催させた。

「ソラが、私が一人で寂しいんじゃないかと心配してくれたんです」

彼女はか弱く、震える声で囁いた。そして、小さく包まれた贈り物を私に差し出した。

「ルナのご帰還を祝して」

母が私の腕に手を置いた。その握力は強い。

「寛大に振る舞いなさい、リラ。彼女はソラの面倒を見てくれたのよ。一族にあなたの気品を見せなさい」

私の気品?彼らは私の代役を私の歓迎パーティーに連れてきて、私に気品を求めるのか?屈辱が物理的な重みとなって私にのしかかるが、私は無理に贈り物を受け取った。

「ありがとう、セリナ」

海斗は緊張を察し、その悲惨な過ちを正そうと動いた。彼は私の前に片膝をつき、広間の囁きを黙らせた。そして、別の箱を掲げた。

中には、もう一つの「月の誓い」のネックレスがあった。今度のは完璧だった。チェーンの長さも丁度良く、留め金も見覚えのあるものだった。

「ゴブリンの職人たちに徹夜で作り直させた」

彼は、皆に聞こえるように、誠意に満ちた声で高らかに宣言した。

「最初のものは、お前にふさわしくなかった。お前への愛は、完璧でなければならない」

群衆は感嘆の呟きに包まれた。なんてロマンチック!なんて献身的!ネックレスが二つも!彼の愛はあまりに大きく、二度も表現しなければならないほどなのだ!

彼はそれを私の首に留めた。金属が肌に冷たく触れた。何も感じなかった。

「『月の誓い』が二つあるなら、それはまだ『唯一無二』を意味するのかしら?」

私は心の中で自問した。

その後、伝統に従い、私は月の女神像の前に立ち、帰還への感謝の祈りを捧げた。海斗は私のそばに立ち、その手は私の腰のくぼみに所有欲を示すように置かれていた。

私は目を閉じた。

「女神様が私を一族の元へお返しくださったことに感謝いたします」

私は、近くにいる人々に聞こえるように、はっきりと大きな声で言った。そして、自分自身の願いを付け加えた。

「そして、月の光の下、私がただ一人でありますようにと祈ります」

その意味は、誰の目にも明らかだった。私の後ろから息を呑む音がした。セリナだった。

彼女はわっと泣き出し、肩を震わせながら大広間から逃げ出した。劇的な退場だった。

海斗が私の隣で硬直した。彼が反応する前に、両親が私に詰め寄った。

「なんてことを!」

父は顔を真っ赤にして怒鳴った。

「彼女に恥をかかせた!私たち全員に恥をかかせたんだぞ!」

母は海斗の腕を掴み、必死な声で言った。

「彼女を追いかけて、海斗!彼女は繊細なのよ!馬鹿なことをするかもしれないわ!彼女を見つけて!」

彼らは皆、彼を見ていた。私の両親は、彼にあの女を慰めるよう懇願していた。私は、氷の彫像のように静かに立ち、彼がどちらのルナを選ぶのかを待っていた。

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私のアルファの新しいルナ:奪われた人生、見捨てられたメイト

第2話
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