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俺の現在地‥‥異世界の名も無き大陸にある、カイザードという名の新興帝国。

 叡智王を冠し、一代にして軍事帝国を築き上げた傑物[魔導皇帝アル・カイザード]よって支配されている。

 主に中世ヨーロッパやギリシャ神殿のような石材建築、所々に和風の木造建築。

 そして、未来の研究所のような鉄材建築が入り混じった和洋折衷の街並み。

 様々な人型種族が棲んでいて、コミュニケーション可能な種族の総称として[人間]という代名詞が使われている。

 四方を風水的に守護された地形の帝都は、堅固な城塞都市だ。

 周辺の領土は、農地開拓が進んでいる。

 それに加え、そこかしこに迷宮が点在していて、迷宮を中心に集落が存在する。

 そこでは犯罪者すれすれのアウトロー[最底辺者=ボトマー]達が、剣や魔法を駆使して、迷宮探索で生計を立てている。

 帝都のメインストリートから離れ、入り組んだ路地の先。

 人通りの少ないアーケード商店街の片隅に、ひっそりと存在する建物のひとつ。

 六角形を組み合わせたデザインに[ハニカム]と書かれている看板が出ている。

 時は、カイザード帝国暦十年、弥月25日・風曜。季節は初春だ。

 先ほどから降り始めた激しい雷雨。

 いつもは日光を燦々と取り入れる天窓を強い雨が叩き、暗めの店内。

 木製の丸テーブルと椅子が並び、奥には複数の個室扉と二階への階段。

 あらくれ者が集まる[ボトマーズギルド]と呼ばれる酒場兼宿屋。

 客は、俺独り‥‥再び、カウンターで突っ伏した。

 初めて鏡で自身を見た時にも思ったが、なかなか奇抜な姿をしている。

 それもそのはず、俺は[カラス]という種族に転生していた。

 まず、全身が濃い灰色、ほぼ黒と言って差し支えない。

 黒っぽい三角帽子からは、手入れの行き届いていない伸び放題の黒髪が覗く。

 気怠そうな着流し姿。

 心なしか、周囲の雰囲気まで、どんより重い。

 俺の周囲だけ、暗いモノトーン調になってやがる。

 そして、着流しから複数本ハミ出した謎の物体がデローンと床に垂れている。

 それには、整然と並ぶ吸盤模様。

 黒い鳥のカラスが一瞬浮かぶが、俺は[カラス賊]。

 この賊は誤植ではない。

 漢字に変換してみれば、その種族性が見えてくる。

 [水の民カラス賊]と呼ばれ、水辺を縄張りとする水賊種族。

 体色は主に白や緑が多いらしい。

 ある海洋生物を彷彿とさせる容姿‥‥烏賊から進化した人型種族って何だよって話さ。

 そこで稲光、俺の体が鈍く光を反射した。

 遅れてゴロゴロと雷鳴。

 俺のボディは生身ではなく、長身痩躯のサイボーグ。

 頭部だけが生身だったって訳よ。

 眩しくて、反対を向いた。

 眠そうな、丸く少し垂れ気味の目と腑抜けた顔をしてる事だろう。

 抜き身のまま、包帯を巻いた刀を二本。

 クロスして背負っている。

 俺の年齢は、現在18歳らしい。

 だが、溌剌とした若さは感じられないだろうぜ。

 転生当初、傭兵として最強の剣豪になるべく武者修行していた頃の面影は、もう無い。

 人相風体を一言で表すならば[怪人イカ男]‥‥これがピッタリ当てはまるのさ。

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イカした恋とイカレた妖刀の冒険譚

第3話
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