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その真珠のネックレスは, 唯一無二の輝きを放ち, まるで「唯一の愛」を象徴しているかのようだった.

しかし, その「唯一の愛」は, 私のものではない.

私はただ, その輝きを, 遠くから見つめることしかできなかった.

「いりません」

私の声は, 驚くほど冷静だった.

「人から奪い取ったものを, 私が受け取るわけにはいきません」

私の言葉に, 杏樹は一瞬, 顔色を変えた.

だが, すぐに, また甘ったるい笑顔を浮かべた.

「直実さん, 何を言っているの? これは, 航佑さんからあなたへのプレゼントよ. 遠慮しないで」

彼女は, そう言って, ネックレスを私に押し付けようとした.

「いりません」

私は, もう一度きっぱりと言った.

私は, このネックレスが欲しいわけではない.

このネックレスを贈った, 彼も, 欲しくない.

「直実! お前, 一体どういうつもりだ? 俺の気持ちを踏みにじる気か? 」

航佑が, 怒りの声を上げた.

その声は, まるで私を責めるかのように, 鋭かった.

「気持ち? 一体, 何の気持ちですか? 私の誕生日を忘れておいて, 今さら気持ちも何もないでしょう」

私は, 頭を振った.

なぜ, 私はこんなにも怒っているのだろう?

彼の言葉に, なぜこんなにも傷ついているのだろう?

「忙しかったんだ! 俺だって人間だ. 忘れることもあるだろ! 」

彼は, 私を睨みつけ, 怒鳴りつけた.

「そうですね. お忙しい航佑様には, 私の誕生日など, 取るに足らないことでしょう. では, 私がどうすれば, 航佑様は満足されるのですか? 」

私の声は, もはや感情を失っていた.

「私のことを, 愚かだと思うなら, そうおっしゃってください. ただ, 私は, もう, あなたに何も期待していません」

私は, そう言って, 深く頭を下げた.

「あなたがいいと言うなら, このネックレスを受け取ります. そして, 杏樹さんにも, お礼を言います」

私の言葉に, 杏樹は, 満足そうに微笑んだ.

私は, ネックレスを受け取ると, 杏樹に深々と頭を下げた.

「ありがとうございます. 大切に…させていただきます」

私の声は, 震えていた.

私は, 彼らの顔色を伺い, 最大限の配慮をしたつもりだった.

だが, 航佑の表情は, ますます不機嫌になっていた.

「お前は…本当に, 俺を怒らせるのが得意だな」

彼は, そう言って, 部屋を出て行った.

その背中には, 怒りが満ち溢れていた.

私は, ただその場に立ち尽くしていた.

ああ, 私は, 一体何をしても, 彼を満足させることはできないのだ.

愛されていない者は, 何をしても, 愛されている者には敵わない.

私は, そう, 心の中で呟いた.

広いリビングには, 私一人だけが残されていた.

テーブルの上には, 巨大な誕生日ケーキが, 寂しそうに鎮座していた.

私は, そのケーキを, 一人で全て食べた.

遠い異国から, 私の誕生日を祝ってくれた, 親族の気持ちを無駄にしたくなかったから.

だが, 全てを食べ終えた後, 私は, 激しい吐き気に襲われた.

トイレに駆け込み, 全てを吐き出した.

冷たい床に座り込み, 私は, 乾いた笑い声を上げた.

「昔は, ケーキなんて, めったに食べられなかったのにね…」

私の目からは, 熱いものが溢れ出していた.

貧しかった頃の私は, ケーキを見るたびに, いつかお腹いっぱい食べたいと願っていた.

その願いは, 今, 叶えられた.

だが, その喜びは, どこにもなかった.

私は, 立ち上がり, 自分の部屋に向かった.

もう, この部屋にいる必要はない.

私は, ベッドの上のシーツを剥がし, トランクに荷物を詰め込んだ.

彼の妻として, この部屋にいる資格は, もうない.

その時, 寝室のドアが, ゆっくりと開いた.

そこに立っていたのは, 薄手のナイトガウンを纏った杏樹だった.

「あら, 直実さん. まだ起きていたの? 航佑さん, まだ戻ってこないのよ. もしかして, 私といるのが, 嫌なのかしら? 」

彼女は, 甘ったるい声で話しかけた.

その言葉は, まるで私を挑発しているかのようだった.

「別に, どうでもいいです. 私が, 航佑様の部屋から出て行けば, もう, あなたたちには関係ないでしょう」

私の声は, 冷たく響いた.

明日には, 離婚届を提出する.

そうすれば, 全てが終わるのだ.

「そうね. でも, 航佑さん, あなたと離婚したくないって言っていたわよ. どうするのかしら? 」

彼女の言葉に, 私の心臓が, ドクンと音を立てた.

「そんなことはありません. 彼が, 私と離婚したがっていることは, 知っていますから」

私は, 頭を振った.

「ふふ, そう? でも, 私, 航佑さんの気持ち, よく分かっているの. 彼は, あなたのことが, 好きなのよ」

彼女は, そう言って, 私の腕を掴んだ.

「だから, お願い. 彼を, 私に譲ってくれるかしら? そうすれば, あなたも, 私も, 幸せになれるわ」

彼女の言葉は, まるで私を弄ぶかのように, 歪んでいた.

「私は, あなたたちの間で, ただの道具だったのよ. もう, 十分だわ」

私は, そう言って, 彼女の手を振り払った.

「離婚届は, 明日提出します. それまでは, あなたたちで, ご自由にどうぞ」

私は, そう言って, 部屋を出て行った.

その背中には, 彼女の冷たい視線が突き刺さっていた.

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裏切り夫への復讐劇

第3話
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