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エララ視点:

その夜、戒様は千鳥足でスイートルームに帰ってきた。

狼人間が酔うのは珍しい光景だ。

私たちの代謝はアルコールをすぐに分解してしまう。

それが起こるのは、極度の精神的混乱に陥った時だけだ。

私の心臓が、愚かで頑固なこの心臓が、彼のために痛んだ。

私は彼の上着を脱がせ、重い体をベッドへと導いた。

彼はマットレスに崩れ落ち、私を一緒に引き倒した。

彼の狼が表面近くまで出てきていて、低い唸り声が胸の奥で響いていた。

彼は私の髪に顔を埋め、その腕は鋼鉄のようだった。

「俺のために戻ってきてくれたんだろう?」

彼はしゃがれた声で言った。

私に向けられたことのない、必死の希望に満ちた声だった。

私は身を引こうとした。

冷たい恐怖が私を襲う。

「戒様、酔っています」

「莉央…お前なんだろ」

彼はつぶやいた。

その息は私の肌に熱くかかった。

彼の心はアルコールと執着でひどく混乱し、自分の番と幻想の区別さえつかなくなっていた。

「お前のはずだ。お前しかいない」

それが、最後の、口に出された真実だった。

その瞬間、私は彼がなぜいつも冷静で、自制心を保っていたのかを悟った。

彼は、ほんの一滴のアルコールが彼の舌を緩め、彼の念話が必死に守ってきた秘密を裏切ることを、恐れていたのだ。

私は力の限り彼を突き飛ばし、バルコニーへ逃げた。

冷たい夜の空気を求めて、息を切らす。

街の灯りが涙で滲んで見えた。

ようやく落ち着いて部屋に戻ると、彼の姿はなかった。

隣のバルコニーから声が聞こえた。

莉央が泊まっているスイートに繋がっているバルコニーだ。

私は影に隠れ、そっと近づいた。

戒様がそこに立っていた。

月を背にシルエットになり、その姿勢は怒りで硬直していた。

「なぜヨーロッパに戻るんだ?来たばかりじゃないか!」

「これは間違いだったわ、戒様」

莉央の声は張り詰めていた。

「ここにいるわけにはいかない」

「俺のせいか?」

彼は問い詰めた。

その声はひび割れていた。

そして、彼の日記で読んだ告白が、彼の口から奔流のように溢れ出した。

生々しく、醜い真実の奔流が。

「あいつと結婚したのは、お前に似ていたからだ!」

彼は吠えた。

その声は荒々しく、壊れていた。

「あいつはお前の血筋で、お前の家族だ。それが、裏切り者にならずに、お前の香りをこの家に、この人生に留めておく唯一の方法だったんだ!唯一、俺が偽りの生活を送れる方法だった!」

彼は荒い息をついた。

「お前に会うためだけに、お前と同じ空気を数時間吸うためだけに、パリへ飛んだ。だから彼女の念話を遮断したんだ。俺がお前をどれだけ必要としているか、彼女に聞かせるわけにはいかなかった」

莉央は恐怖に震え、沈黙していた。

「俺たちの子供には、戒莉(かいり)と名付ける」

彼は狂気じみた確信に満ちた声で宣言した。

「そしてエララは……何もできない。俺を捨てる勇気なんてない。あいつは俺の番だ。俺はあいつのアルファだ。あいつは俺のものだ」

彼は間違っていた。

彼の番は、もういなくなっていた。

彼のアルファとしての地位は、もはや私にとって何の意味も持たなかった。

私はもう、彼のものではなかった。

私は、私自身のものだった。

そして私は、ここを去る。

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アルファの王の禁断の愛、秘めたる復讐

第3話
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