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私は一切の躊躇なく、玄関へ駆け寄ると自分の荷物をかき集め始めた。

かつてロックが贈ってくれた品々、私の服やアクセサリーが、すべて無造作に玄関に山積みされていた。

一つひとつ手にとって整理していると、涙が不意に頬を伝った。

ロックはしばらく後ろで黙って見ていたが、やがてためらいがちに近づき、私の腕を掴んで引き起こした。

「片付けるな。新しいものは、いくらでも買ってやる」

「デビーが子を産めば、彼女は俺の伴侶となる。だが、君との関係が変わるわけじゃない」

私は愕然とした。 「私に、あなたの日陰の恋人になれとでも言うの!?」

彼は屁理屈をこねる。「俺たちは愛し合っている。一緒になるのは当然のことだろう。そんな言い方はないんじゃないか」

私は彼を突き放し、黙々と荷物の整理を続けた。

もしロンとの約束がなければ、このタイミングで戻ってくることなど決してなかっただろう。

彼と言葉を交わすたび、胃の腑が煮えくり返るような思いがするからだ。

彼の言葉のすべてが、私の自尊心を容赦なく踏みにじっていく。

だが、荷物をすべて改めたというのに、あの指輪だけが見つからなかった。

「ロック、私が昔あなたにあげた指輪はどこ?」

ドアに寄りかかっていたデビーが、すっと自分の手を持ち上げた。「これのこと?」

エメラルドが陽光を浴び、きらりと妖しい光を放った。

私は矢のように駆け寄り、指輪を奪い返そうとした。

しかし、デビーの指に触れるよりも早く、彼女はわざとらしく後ろへ倒れ込んだ。

「きゃっ! ジュリー、どうして私を押すの!」

「押してない――」

言葉を言い終える前に、私はロックに荒々しく突き飛ばされた。

昨日殴られた背中の傷が開き、床に長い血の痕を引いた。

昔は、私の指が少し切れただけで狼狽したロックが、今はこの惨状を一瞥だにしない。

彼は壊れ物を扱うかのように優しくデビーを支え起こした。「大丈夫か?」

その声音は水のように優しく、先ほどまでの私に対する凶暴な形相とはまるで別人だった。

「わざとはめたわけじゃないの。ただ、綺麗だと思って……」

彼女は指輪を外そうとするふりをしながら、涙声で言った。「ごめんなさい。今すぐ返すから、叩かないで」

彼女が哀れに見えれば見えるほど、ロックの私に対する怒りは増していく。

彼はデビーの手を固く握った。「これは彼女が俺に贈ったものだ。どうしようと俺の勝手だろう」

「君にやると言ったんだ。なら、これは君のものだ!」

「ロック――」私の弱々しい声が、彼の注意を引き戻した。

地面に蹲って起き上がれない私と、床に広がる血痕が、彼の目に焼き付いた。

「なぜ、こんなに血が……?」

見間違いだっただろうか。彼の瞳の奥に、一瞬だけ痛みの色がよぎった気がした。

デビーが彼の腕にしがみつく。「ロック、全部私が悪いの。やっぱり一度、自分の家に戻るわ」

ロックは我に返ると、彼女を安心させるように強く抱きしめた。「去るべきは、君じゃない」

私はようやく床から体を起こし、ふらつく足で二人の前に立った。

「ロック、私は出て行くわ。だから、お願い。指輪を返してくれない?」

「あれは……両親が遺してくれた、たった一つの形見なの。お願い」

これほどまでに、自分が卑屈になったことはなかった。

「指輪を返してくれるなら、部族での特権はすべて放棄する」

私は歯を食いしばった。「私は……ローグにだってなるわ」

「正気か!」

ロックは信じられないというように吼えた。「そんな言葉、軽々しく口にしていいと思っているのか!」

だが、彼の言葉はもう私の耳には届かなかった。私はただ、指輪を返してほしいと懇願し続けた。

ついには、地面に膝をついて。

ロックは、私の額から流れる真っ赤な血の筋に視線を落とすと、舌打ちし、指輪を私の目の前に叩きつけた。

「消えろ!二度と俺の前に顔を見せるな」

失われたはずの指輪を握りしめると、荒れ狂っていた心が不思議と静まった。

立ち上がったとき、先ほどまでの脆さや懇願は跡形もなく消え失せていた。

「ロック。これで、私たちにはもう何の関係もない」

「後悔しないでね」

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捨てられ妻、敵の将に奪われて

第3話
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